感覚を深める

 自称「角田派」の三八道場主宰者が、故角田師範に倣って、三八道場版合気道ひとりごとを綴っていきます。

 

 今回のテーマ「感覚を深める」は、稽古中に得た「気づき」の一つです。文字通りすこし感覚的な話ですので、分かりづらいかもしれませんが、ご容赦ください。(むしろ分かることより感じることが大切なことがらです)


 合気道の対人稽古においては、「相手を崩さねば」とか、「このやり方で技が効かないなら、別のやり方ではどうだ」とか、とかく、相手をどうこうしようとする意識が先行してしまいます。


 でも、合気道はあくまで相手と自分の関係性の中で成立するものであり、「相手がどうなったか」は、はっきり言ってどうでもよい「結果」であり、むしろ大切なことは、その相手と自分の関係性をどう変えていくか、の方であると思います。

 

 いまや「結果がすべて」の世のなかですが、合気道で「結果がすべて」なら何の面白みもなくなります。例えば、「どんな形であろうと、腕を抑えれば「一教」です」なんてことになったらと想像してみてください。合気道は結果がすべてではない、と私は思います。

 

 話を元に戻します。例えば、私が稽古の指導を行う際、「相手の腕を上げるのではなく、自分の肘を下げればよい」という説明をしますが、それは言い換えれば「相手を動かそうとするのではなく、相手と自分の関係性(=例えば相手と自分の接点である腕(手首)の座標)を変えることで、有利 or 不利の関係が逆転することである」ということです。

 

 そして、その関係性を変えるときに重要なことが、自分の感覚や、相手が自分に触れているところから感じられる相手の重心や軸の感覚、などを、どこで、どのように感じるか、ということではないかと思います。

 

 すなわち、相手をどうこうしようとしたり、自分の動きをどうしようと切磋琢磨する前に、まずはじめに自分の感覚を大事にしたいと考えています。そして、その感覚を相手の接点となる皮膚表面だけにとどまらせるのではなく、その感覚を自分の身体の内部にまで深めていきたいと考えています。

 

 これもよく私が稽古中に話すことですが、「自分や相手の腕の重さ」を感じることができますか?という問いに、YES と答えた方は、次に「その重さをどこで感じることができるか」考えて(感じて)みてください。

 

 最初のうちは、例えば自分の腕の重さを肩で感じるかもしれません。それをさらに深めて鎖骨の付け根、または肩甲骨、そしてさらに深めて背骨を通じて骨盤で、さらには肚で感じる、というレベルにまで深めていきたいと思います。

 そして、その次に肚から動いていきたいと思っています。

(この「肚から動く」というのも、かなり抽象的で感覚重視な世界だと思いますので、あらためて話をまとめたいと思います)

 まだまだ自分にはできていませんが、そういうレベルを目指したいと思って稽古を続けます。(拝)